スクラムジェットエンジンの燃焼器における Vitiation Effect

燃料噴射器より流入する水素と圧力分布

将来的な宇宙輸送機に搭載するエンジンとして,マッハ数5を超える幅広い飛行速度で動作可能であるスクラムジェットエンジンの研究が進められています.スクラムジェットエンジンの開発には風洞を用いた実験が不可欠となります.その際に高エンタルピー(高マッハ数,高温度)の試験気体を作り出す必要があるため,試験気体は風洞の試験室に流入させる前に何らかの方法で加熱されます.試験気体の加熱方法として,水素や炭化水素をあらかじめ試験気体に混合させ,燃焼させるという方法(燃焼加熱)が挙げられます.燃焼加熱を行なった場合には,試験気体中に燃焼生成物が混ざり,実際のエンジンに流入する気体とは異なった組成の気体となります.このため,実際のエンジンの動作時と比較して燃焼反応が遅れる等の影響(Vitiation Effect)が生じます.

 本研究では,スクラムジェットエンジン燃焼器内に空気を流入させた場合と燃焼気体を流入させた場合の比較を行い,Vitiation Effect の影響を調査しています.

燃料水素の体積分率の変化

スクラムジェットエンジン内部の流れは超音速であり,燃料を燃焼させるには燃料と流入空気を十分に混合させる必要があります.上の図は燃料噴射器から噴射した水素が空気と混合する様子を示しています.