流体の圧縮性を考慮した球体にかかるMagnus力のモデル化

Magnus力

Magnus力は回転体周辺の流れ場の変化の反力として受ける力です。身近なところでは、野球の変化球や、サッカーのカーブシュートの軌道の変化はMagnus力によって説明ができます。

流体中に存在する粒子にかかる力は粒子近傍の詳細な流れ場がわかっていれば求めることができますが、粒子数の増加に伴って直接流れ場を求めることは困難になります。そこで、粉塵爆発など粒子数の多い大規模な系では抗力やMagnus力などの力は、モデルを用いて主流の物理量から計算することが一般的です。

現在提唱されているMagnus力のモデルでは流体の圧縮性が考慮されていないため、超音速で空気中を移動する粒子に対しては適用できない可能性があります。そこで流体の圧縮性を考慮したMagnus力を定量的に評価することで、幅広い速度域で利用することができるMagnus力モデルを構築することを目指しています。


単一粒子周囲の流れ場

粒子の周囲では粒子によって流れ場が変化させられ、粒子はその反力として抗力や揚力を受けます。上図は静止気体中に超音速の粒子が突入する様子です。粒子前方に衝撃波が発生し、不連続に圧力が変化しています。このように超音速流れでは、亜音速流れとは異なる現象が起こることがあります。