アブレーションを伴う極超音速飛行時の耐熱設計

極超音速統合制御実験機HIMICOの温度分布

アブレーションとは、深刻な熱負荷から宇宙往還機の内部を守る耐熱技術の一種です。宇宙往還機など極超音速(音の5倍以上の速さ)で飛行すると、その表面温度は2000℃にも達します。アブレーターは一般に耐熱パネルとも呼ばれ、熱分解することで吸熱効果をもたらします。さらに熱分解ガスが機体を包み込むことで高温な外気を機体表面から遮断するという効果(blockage effect)によって機体内部を常温に保ちます

 

本研究の目的は、アブレーションによる吸熱反応と、生成ガスによるblockage effectを模擬する計算手法の構築です。より高精度に現象を予測することで、最適な耐熱パネルの材質や厚みを決定することが可能となります。

エンジン排気部の温度分布

耐熱パネルの材質と厚みは、極超音速機や宇宙往還機を実現する上でコストや重量に大きく関わります。特にエンジンの排気部は非常に高い熱負荷にさらされるため、耐熱設計は非常に重要です。本研究では、アブレーションとエンジン排気流、外気流を同時に解くことで実際の飛行条件を模擬しています。